やり場に困る「視線」の話
「どこを見たらよいのか」、悩むシチュエーションがしばしば。
トイレの小便器の前に立って用を足す時、「どこを見たらよいのか」。
尿をしげしげと眺めるのは、なんだか気が引ける。ときどき便器に、「ここを目がけて!」と言わんばかりの「的のシール」が貼られていたりするが、そこに視点をロックしてしまうと、「あー。結果的に尿を見せられているー」と、げんなりしてしまう。
エレベーターに乗って、到着するまで「どこを見たらよいのか」。
これが最大の悩みどころである。答えはまだ見つからない。
大概の人は「1F」「2F」「3F」…… と変わりゆく階の表示を眺めるのだろうが。ホシノからすると、その「エレベータに乗る幾多の人々がひとつ箱の中、そろいもそろって『ななめうえ』を眺めて微動だにしない」という光景が、なんだか気味が悪くてしょうがない。天に祈りでも捧げているように見えて、なんだか滑稽なのだ。。
いったい「どこを見たらよいのか」。エレベーターだと、とりあえず「ななめした」を見つめる他ない。
この間、妹とデパートのエレベーターに乗ったときの話である。
妹の目はひたすら「まっすぐ」を見つめていて、「何を見ているのかしら」と気にかけてみたらば、その先には毛の薄いおっさんが、やはり階の表示を見つめ、「ななめうえ」を見上げていた。
おっさんが「ななめうえ」を見上げることで、その薄い頭皮が、まんべんなく、惜しげもなく妹の視界に届いていて。。。その瞬間に、妹が「ツルピカ!」と呟きやがった。その時の気まずさといったら、もう。。。
、、もう妹とはエレベーターに乗りたくないと思ったのでした(解決のないオチ)。